「就活対策としての資格取得」に対する考え方

就職対策としての資格取得が非効率だと思う理由 - grshbの日記

読みました。

僕は彼と違って就活生ではないので経験や実感という点では明らかに劣るけれど、あえて反論してみようと思う。

前提として、ここで検討するのはあくまで「就活対策としての」資格取得なので、就職後の十数年を見越してのコストパフォーマンスとか将来性といった要素はできる限り除外したい。多少短絡的ではあっても、あくまで就活のために有効(と思われる)なら取るべきという考え方だ。

就活対策としての資格取得は「リスクヘッジ」である

げろしゃぶ (id:grshb)さん は「就活対策として資格取得は非効率的」という主張である。資格を取るためにかかる時間に比べ、そのメリットがあまりに少ないというわけだ。その数少ないメリットというのは

・書類審査通過のため

・他学生とスペックが拮抗した際のアドバンテージ

だという。
上の二点についてはほぼ同意なのだけど、一番大事な要素が欠けているなと思う。それは資格をもっていることで「精神的に武装できる」という点である。


なぜ(僕をふくめ)学生が就活のために資格を取ろうと考えるのかといえば、上記のような具体的なメリットもさることながら、「資格を持っている」という事実が安心感を与えるからというのが最も大きい。実際id:grshbさんも「履歴書を書く段になって初めて記入する資格がほとんどないことに焦った」と言っているように、ないならないで焦る人はかなり多いはずだ。学生が資格取得に走るのは、就活というよくわからないモノに対し精神的に武装するためというのがまずある。つまり就活対策としての資格取得とは、保険なのだ。保険に効率・非効率を言ってもしょうがない。


書類審査やスペック拮抗対策とは言われているが、僕ら学生からみると資格がそれらに対し有効だったのかどうなのか知る由もない。書類審査を通過したとして、それが資格があったからなのか、単に資格以外の部分が評価されただけなのか、わかるわけないのだ。


もちろん資格を取ったことで安心していても、実際やってみて上手くいかないこともあるだろう。安心感だけあったって意味ないし、一部の独占業務を除いて、資格は絶対ではない。しかし充分な資格があるにもかかわらず書類審査で落とされまくり、何か対策を立てようとなったとき、「資格がないからではないか」という点を疑わなくて済む。まずはひとつ、考えるポイントが減り、無駄な憶測や不安を抱く時間的・精神的コストが減るのだ。id:grshbさんは大した資格がないのに書類選考は8割通過していると言うが、もしこれが5割や6割ならどう思うだろう。やっぱり「資格も必要だったんではないか」と少しは考えると思う。id:grshbさんが資格がなくても書類選考で苦労していないのは、(彼が就活前は資格がないのを危惧していたのを考えると)本人に自覚のないところで資格なんて必要ないと思わせる何かがあるからだ。もちろんそれがない人だっているわけで、そういう人は資格もないし書類も通過していない。そこでくよくよしたって仕方ないんだけれど、それなりに長期戦な上いつ終わるともしれない就活にのぞむにあたり、精神的な負担は致命傷になる。資格取得はリスクヘッジであり、不確定要素の多い就活を乗り切るためのひとつの保険と考えるべきだと思う。

TOEICの効用は「やりやすさ」

TOEICはたぶん、人事側からしてもわかりやすく判断しやすい基準だ。しかしその上位互換には「学歴」があって、そっちがおぼつかなくTOEICも大したことないとなれば逆効果だと思う。よって、それなりに高い点数が必要だ。しかもid:grshbさんも言うように、日本に住む人にとって英語なんてほぼ必要ない。

ただそれでも、資格としてのコスパが良いのはたしかだと思う。


id:grshbさんはTOEICの知名度の高さが逆に差別化をしにくくさせているという。確かに受験者の多さやトップ層の厚さを考えると、よっぽどじゃないと点数の高さで突き抜けることはできない。しかしTOEICには定員数もないし、公認会計士や司法試験などに比べればかかる労力は少ない。他の多くの資格に比べ教材にもっとも恵まれているし、ノウハウの蓄積はダントツだ。ゆえにやろうと思えば独学できるし、目標点数までの到達期間も努力次第で圧縮できる。つまり資格取得のためのコストがコントロールしやすく、最小化しやすいと言える。端的に言ってやりやすい。余計な労力が要らない。

たとえば3週間の勉強で700点取れば、能力から言って充分「突き抜け」ていると言えないだろうか。(外資系でも限り)重要なのは点数や英語能力(専門性)ではなくそれを得るまでのプロセスなので、働き始めてからまた同様にその能力を仕事で発揮できると説得できればよい。



結論としては、就活対策としての資格取得は

リスクヘッジ(保険)であり精神的なメリットが大きいが、

②(一部の業務独占資格以外は)コストを限りなく最小化して取得しないと意味がない

ってとこだろう。①はともかく②を満たしやすいのがTOEICだ。


数年の留学経験があったりビジコンで賞を取ったり、あるいはスポーツか何かで他にない能力を持っているなら資格の意味なんてゼロだ。しかしそういった人たちをのぞけば、資格は第三者にとってひとつの客観的な基準となる。サークルで部長やりましたとか、バイトリーダーだけど質問ある?みたいなあやふやなもの、やろうと思えばでっち上げ可能なものよりは、僕なら資格のほうがまだ信頼できる。


まぁどちらにせよ中途半端なのが一番悪いという結論になってしまうんだけど、資格取得を効率的にするのも非効率にするのも自分次第だよなと思う。以前書いたように、企業は人柄重視だ。就活でお守り代わりに持っておきたいなら資格で差別化しようなんて考えは捨て、なるべく時間をかけずにとってしまうのが一番賢いんだろう。

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