「変化の時代」をワクワク生きよう ちきりん『マーケット感覚を身につけよう』
マーケット感覚を身につけよう---「これから何が売れるのか?」わかる人になる5つの方法
- 作者: ちきりん
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/02/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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読みました。面白かったです。
内容は大きく2つ。①これからの時代に必要な「マーケット感覚」というスキルについての説明と、②それを鍛えるための方法です。
『マーケット感覚』って何?
ちきりんさんは
商品やサービスが売買されている現場の、リアルな状況を想像できる能力
(あるいはもう少し一般化して)
顧客が、市場で価値を取引する場面を、直感的に思い浮かべられる能力
と定義してますが、正直これだけだとさっぱりだと思います。
マーケット“感覚”という名の通り、かなり抽象的・感覚的なモノで、だからこそ本一冊まるまる使って、色んな角度から説明してます。簡単にいうと、「新しい市場や価値を発見したり、創造するための嗅覚」でしょうか。この“嗅覚”ってとこがけっこうミソで、知識やノウハウを詰めこんで身に着くものじゃなく、日々の習慣や身を置く環境によってこそ育まれる。そして、だからこそ汎用性も高い能力です。
それはたとえば、「ジャパネットたかた」は何を売っているのか、に気づけること。ジャパネットたかたが売っているものは、一見、炊飯器や掃除機といった商品ですが、実は違う。そういったものなら家電量販店にいけばもっと安くて種類も豊富なものがたくさんあるからです。「たかた」が売っているのは、商品そのものでも合理性でもなく、消費者が「この人がおすすめしているなら、いいものなんだろう」と感じてくれること、「信用」という価値です。
また“いわた書店”という本屋では、「あなたに合う本を1万円分、選んでお送りします!」というサービスをはじめたところ、全国から注文が殺到しました。今は出版不況なんて言われて本がなかなか売れないみたいですが、この事例でも、いわた書店は本そのものを売ることではなく、「本を選んであげること」を商品にすることに価値があると気付いて市場を生み出した。
このように、人々が感じている『価値』への感覚を研ぎ澄まして、新しい市場を見出したり、創造したり、時には再定義できる能力が「マーケット感覚」です。
なぜマーケット感覚が必要なのか
世の中はいま、どんどん「市場化」しています。
一昔前は仲人さんや近隣同士がくっついて結婚するような「相対取引」が行われていたけど、今はネットのマッチングサービスなんかで婚活が「市場取引」化している時代。僕が今やっている就活も、昔は地域の会社に教師の推薦や親のツテで就職していたのが、現在ではリクナビやマイナビが作った応募システムに則って行われる。価値の高いとみなされた学生はいくらでも内定を取りまくるが、そうでない学生はとても苦労する。逆に人気企業は学歴で足切せざるを得ないほど学生の応募が殺到するけど、あまり名の知られていない中小企業はなかなか人が集まらない。今いる「市場」で、自分にはいったいどんな「価値」があるのか?それは需要が高いのか、低いのか?高いならそこで頑張れば良い結果が出るだろうけど、もし低いなら早めに撤退して、新しい「市場」を見つけなきゃいけない。
そして、今まで規制があったり参入障壁が高かった分野にも市場化の波が押し寄せる。たとえば「ふるさと納税」は「税金徴収制度の市場化」です。自分のふるさとでも何でもない地域含め、好きな自治体に納税できるこの制度によって、日本中の地方自治体が納税者の払う税金を獲得しようと(豪華な特産品を用意したりして)競争している。まだこうした競争にさらされていない業界も、これからは無関係でいられなくなる可能性が高い。だからこそ今、マーケット感覚を身につけることが重要なんだそうです。
「変化」の時代をサバイヴする
今はよく言われるように変化の早い時代です。つい数年前まで売れまくってた液晶テレビも、現在ではぜんぜん売れなくなっているし、その反面、YouTubeやニコニコ動画のようなネットの動画配信サービスが注目を集めている。それもまた、5年後・10年後に今のまま存在するとは考えにくい。
こうした変化の激しい世の中をたくましく生き抜くために、マーケット感覚は必要になってきます。それは、市場化する世の中では求められる「価値」がどんどん変わっていくからであり、また「変化」を敏感に感じ取る力こそが、マーケット感覚の本質だからです。逆に言えば、この能力があれば「変化」は「楽しく、ワクワクするもの」になる。
僕自身でいえば、これから就活していくにあたり、その企業が「マーケット感覚」が身につくようなところか、という視点が大切になってくる。絶対安泰な企業なんてないし、もしそう見えるところに入れても、長いこと市場から遠ざかっているうちに感覚が鈍り、いざ何かあって違う場所に放り出された時自分の「価値」にも、市場で求められる「価値」にも気づくことが出来なくなってしまうからです。
今いろいろ企業を見て回ってるけど、回りながら思うのは、世間知らずな僕ら学生には価値判断の軸になるものがほとんどないんですよね。もしあったとしても、それは「これが好き」「あれは嫌い」レベルのもので、とても世の中で通用するものじゃない。だからつい「安定」とか、とりあえず食いっぱぐれなさそうな「公務員」に流れちゃうんだけど。
そのなかで、この「マーケット感覚」はひとつの軸になりうるのかなと思います。
- 作者: ちきりん
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/02/23
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