ブログ運営の大局観-「Chikirinの日記」の育て方

「Chikirinの日記」の育て方

「Chikirinの日記」の育て方

読みました。

ちきりんさんが運営するはてなダイアリーの超人気ブログ「Chikirinの日記」の舞台裏を綴った本。面白かった。

例えるなら漫画や映画の「裏設定集」を読んでいるような面白さ。普段「日記」を読んでいて気になっていた小さなことにも、思わず「なるほど!」と唸るような理由や方針、工夫が隠れている。ブログのエントリとして表れるものを「B」、その元となる原因や背景を「A」とするならば、今まで観ていたものは「B」だけです。それがこの本の読了後「A→B」の流れまで見通せたような、すっきり感がありました。ちきりんファンの方だけでなく、ブログを運営されてる方なら参考になることもかなり多いでしょう。また私感ですが、今までの著書で一番、ちきりんさんの人柄が垣間見える本だと思います。他人の編集を通していないのが大きいんでしょうね。

では特に気になった点を踏まえて感想を書いてみます。

ブログ運営の大局観

この本を読んでいて一番強く感じたのが「大局観」。
ちきりんさんのブログは今や多い時では月に200万以上のアクセスを集めています。そんな場所の運営を一人でこなすのだから、ちょっと想像もできないくらい色々な問題(スパムや取材依頼の殺到、炎上など)が起こってきます。で、そこで大事になってくるのが芯の一本通った「運営方針」。

ちきりんさんの運営方針はかなり徹底して大局を見据えたものになっています。「価値あるメディア」を作るために何を取り入れ、何を捨てるのか。一時のPV上昇やアフィリの収入に左右されず、ぶれることなく運営していくために必要なことをかなり厳しく精査している印象でした。

目の前にある誘惑に勢いで飛び込むのではなく、いつもChikirinの日記の「どうあるべきか」「どういうものにしたいのか」に照らして判断している。その徹底ぶりから、ちきりんさんはブログ運営に半端じゃなく高いプライドを持ってされてるなと感じました。

・・・何人もが同時期に一つの本を紹介していたら、うさんくさく思われて当然だし、私も“そんなブロガーの一人”とは思われたくありません

「盛り上がっているから、今日はこのテーマについて書く」と言う行為は、「流行っているからミニスカートをはく」のと同じで、まったく主体性が感じられません


何に対しても全く媚びず、それこそ「自分のアタマ」で考えたことのみに忠実。これほど徹底することは並大抵の決心では無理でしょう。僕にもできることがあるとすれば「安易な道に走らないこと」だろうと思います。

「ブログ」が先か、「日記」が先か

上記のような姿勢を徹底できる背景には何があるんだろうと考えたとき、それはそもそもブログを書き始めた動機に理由があるんじゃないかと思いました。

例えば僕は今でこそこうしてブログを書いていますが、今までネットではない、普通の紙の日記をコツコツと続けてきた人間ではありません。始めた理由もたんなる思いつきだし、これから何年も続いていくかなんて全くわからないのです。ですがちきりんさんの場合、まずは紙の日記を25年続けてきたという背景がある。それがつい9年前、今のようにネット上の公開ブログに移行しただけなのです。

つまりちきりんさんの「ぶれなさ」の秘密は、この下積み経験、バックグラウンドにあるんじゃないかと思います。当たり前のように「考えて」「書く」、その延長線上にブログ運営があるから、毎日何万人もの人が訪れるようになっても読者に必要以上にコミットしない。Chikirinの日記を読んでいて感じる「いい感じの距離感」の理由も、この辺にある気がします。ちきりんさんは頑なに「作家」みたいな肩書を名乗ることに違和感を感じるとおっしゃっていますが、自分はライターではなくひとりのダイアラーなんだという意識が強いのかなと思いました。

自分のブログについても考えてみた

僕のブログにも何か応用できることがあるとすれば、ひとつはやはり最初の章で挙げた「人気のために安易な方法を取らない」ということでしょう。「書きたいものがあるから書く」というバックグラウンドに乏しい僕は、気を抜くとすぐこれにハマってしまいそうになる。

ですがこの「安易な方法を取らない」というちきりんさんの方針はブログを安定して大きくしていくためでもある一方で、一番はやはり、ちきりんさん自身が「Chikirinの日記」を大切に思っているからなのだろうと思います。

一方僕は、こうしてブログを始めてまだ70記事、期間にして二か月ちょっと。今は書くことにも慣れて、たぶん今が一番楽しい時期です。一本筋の通った方針を持ったり、あわよくばブログを大きくすることにも興味はあるけれど、とにかく今は書いたり考えたりすることを自分の血肉にしていきたい。このブログはタイトルにある通りゆーすとの「日記」です。これからこのブログが自分にとってどんなものになるのか、この本を読んでますます楽しみになりました。


そんじゃーね!

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