「放たれる」―Mr.Children

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今日(5/24)から配信開始の新曲「放たれる」をituneでさっそくDLして聴いてみた。
「REM」の配信がたしか去年の5月29日だったから、ほぼ一年ぶりの新曲だ。ファン会報だとミスチルは現在新アルバムに向けて絶賛レコーディング中らしく、(会報は2~4ヵ月ほど時間のズレがあるので)たぶん今頃はもう大かた完成段階なんじゃないかなと勝手に思ってる。「放たれる」はその新アルバムの中の一曲。
歌詞は公式にはまだ出てないみたいけど、ネットを漁ったら見つかった。合ってるか確認したんで間違いないと思う。

閉じ込められてた気持ちが 今静かに放たれてゆく
重たく冷たい扉を開けて かすかな光を感じる
諦めかけたいくつかの 夢 希望 憧れ 幸せ
朝顔が空に伸びるみたいに その光をたぐり寄せる


右へ左へ迷いながら その度に蔓を巻き
日の当たる場所に昇りたい あなたもそこに来て・・・


もう一度その温もりにその優しさに包まれて生きたい
払い落としても消えない愛が一つあるの それで強くいられる


ある時はもっと滅茶苦茶に 自分を傷つけたい衝動に
駆られてしまう 誰のせいにも出来ない不運を目の前に
だけどたった今分かったのは 誰もが生きる奇跡
生まれてきた ただそれだけで愛されてる証


カラタチの木の棘のように あらゆるものに尖り自分を守った
でも今は恐れることは何もないと 強がりじゃなく思える


遥か遠い記憶の中で あなたは手を広げ
抱きしめてくれた まるで大きなものに守られている
そんな安らぎを感じる 今でも・・・


もう二度とその温もりにその優しさに触れないとしても
いつまでも消えない愛が一つあるの それで強くなれる
だからもう恐れることはなにもないの 心は空に今そっと放たれる


何回か通して聴いてみて、「中学か高校の合唱曲みたいだな」と思った。
強烈な個性はないもののサビのあたりはけっこう個人的にキャッチーで好き。全体を通して優しいバラードなんだけど、キーボードやピアノが全面に出てるってことはなくて、ドラムやギターが存在感ある。雰囲気は最近のだと「祈り~涙の軌道」や「常套句」に似ているけれど、その点で「放たれる」はまた違った聴き心地になってるかなと思う。僕はその時の気分にもよるけれど、コテコテのバラードよりはちょっとロックなテイストがあったほうが好み。


「放たれる」は劇団ひとり監督の映画「青天の霹靂」の主題歌になってる。この映画のために描き下ろした曲だ。ミスチルは最近特に映画の主題歌を作ることが多くて、09年は「ワンピース FILM STRONG WORLD」に「fanfare」を、11年には「僕等がいた」に前述した「祈り~涙の軌道」を、去年は「リアル~完全なる首長竜の日」で「REM」をそれぞれ出している。ミスチルの曲はほぼ全部作詞作曲はボーカルの桜井さんが担当だけど、彼自身漫画や映画、ドラマなんかの世界観を反映して曲作りをするのは好きらしい。この「放たれる」に関しても、桜井さんからコメントが出ている。

「放たれる」というタイトルが多くを語ってしまっているかもしれないけれど、
「ケージの中で傷を癒した鳥が、再び空に向かって飛び立つ瞬間」
この物語を読んで、そんなイメージが湧いてきました。
背負ってしまった運命。
付き纏う寂しさ。
拭えない悲しみ。
思い通りに事が進まないもどかしさ。
そんな、重く薄暗い場所にある誰かの心が、自由と明るさを取り戻す大事な場面に、
ただ寄り添うだけの最良のBGM でありたい、そう願っています。


Mr.Children 桜井和寿
http://ro69.jp/news/detail/102073

最良のBGMでありたい、って部分になるほどと得心いった。曲そのものが個性を発揮するようなかんじではないし、じわじわ染みてくるような、徐々に耳に馴染んでくるような曲だ。


映画は劇団ひとりさんの原作小説があるみたいで、ちらっと見たところ売れないマジシャンが過去にタイムスリップして自分を産まれる前の両親に会うことになり・・・みたいな内容らしい。「放たれる」もその世界観をずいぶん吸収してるみたいで、映画や原作を知ってから聴くと曲の解釈はけっこう狭くなっちゃうかもしれない。*1

「青天の霹靂」予告 - YouTube
映画も観てない、小説も読んでない今の段階の想像に過ぎないがあえてその(想像した)世界観に沿って解釈しちゃうと「とても裕福とはいえない家庭・生活環境で育ち、それまで苦労してきたことや両親は自分を大事に思っていなかったのか、どうでもよかったのかという疑念や恨みに似た感情を抱えた人がいて、でもその本当の経緯、物語、両親の思いを知って、過去に引きずられていた自分から解放され生まれ変わる」みたいなかんじだろうか。歌詞でいえば

閉じ込められてた気持ちが 今静かに放たれてゆく
重たく冷たい扉を開けて かすかな光を感じる

とか

ある時はもっと滅茶苦茶に 自分を傷つけたい衝動に
駆られてしまう 誰のせいにも出来ない不運を目の前に

あたりが原作/映画のテーマと重なるのかなと思ってる。
*追記:映画の感想⇒映画「青天の霹靂」 - ゆーすとの日記



僕はミスチルが好きだけれど、逆を言うとミスチル以外のアーティストは邦楽・洋楽を問わずほとんど知らない。そのへんがコンプレックスっちゃコンプレックスなんだけど、こうやってひとつのバンドや曲に集中してコミットすることでしか見えてこないものとか、世界観とかが絶対あると思ってる。そう思い込もうとしてる部分はあるけれど、とにかく気のすむまでずっとミスチルを深く掘り下げて、一曲一曲に何層も自分の考えや経験からくる解釈を重ねて、厚みを増していきたい。そうして重ねたものをたまに斜めにぶった切って、バウムクーヘンみたいになったその思考のレイヤーを横から眺めるのはけっこう楽しい。



放たれる

放たれる


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*1:それも長いこと聴いてれば忘れちゃうので問題ないけれど。

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