借りぐらしのアリエッティ

借りぐらしのアリエッティ [Blu-ray]

借りぐらしのアリエッティ [Blu-ray]

録画してあった『借り暮らしのアリエッティ』観ました。

めっちゃ切ないですよねーこれ。数年前のテレビ放映時に録画したのを観て以来なんだけど、また以前とは抱いた感想も違ってて、楽しめました。志田未来の演技もよかったー

見つけて欲しかった

僕は前に『アリエッティ』を観ていたとき「アリエッティと翔っていつの間に恋に落ちたの?」ってずっと疑問だった。だって初めて顔を合わせてから二人はずっと「人間」と「小人」でしかなくて、アリエッティはお父さんの言いつけもあって人間にはかなり警戒心抱いてるはずなんですよね。たしかにアリエッティはハツラツとした少女で怖いもの知らずなところはあるんだけど、それでも恋に落ちるほどの信頼とか、そういう関係になるきっかけなんて無いままいつの間にかいい雰囲気になってて????ってかんじだった。


でもジブリの主人公とヒロインは皆出会ったその時から恋に落ちている。つまり一目惚れなんだ」っていう(たぶん宮崎監督の)発言をその後どこかで読んだ。そう言われちゃうとともう納得するしかないんだけど、不思議と無理矢理感はない。(ってことは『思い出のマーニー』はやっぱり・・・)

実際見返してみると、アリエッティは翔に見つかった直後、びっくりすると同時に頬染めてる。たしかに一目惚れっぽい。というかむしろ、アリエッティは心のどこかで翔に「見つかりたい」って思ってたんじゃないでしょうか。 初めての「借り」にしては派手な赤いワンピースを選んだのも、彼女なりのオシャレであり、「私を見つけて!」っていうアピールであり。でも服を選んだ時点では、アリエッティ自身その気持ちを自覚してなかったとは思う。

で、もちろんほんとに見つかるかどうかは五分五分だったんだけど、実際見つかったら思った以上に大ごとになって。彼女自身がどこかで「見つけて欲しい」って気持ちがあったのをそろそろ自覚し出してからは、罪悪感もあって、余計落ち込んじゃう。

その後はお父さんの言いつけを破って、「自分で責任取る」とか言いながら角砂糖持って自分で会いに行っちゃう。もう決定的ですよね。

でも翔がアリエッティ一目惚れするのはたぶんもっと後で、初めて二人が対面して言葉を交わした時。「きれいだね」って言うとこです。

小人、少女、虫

アリエッティ達に対する人間たちの捉え方もまた様々でおもしろい。翔の両親や祖母は、小人をただ「小人」として認識してるんだと思った。ドールハウスも作って「あげた」んだし、同じ人間とは思ってなかったんだろうなと。まぁこれが普通ですわなと。


一方の翔はと言うと、たまにすごく乱暴なんですよね。どうやって見つけたのか不明だけどアリエッティ達の住家を突きとめて壁を壊して、ドールハウスの台所を押し付けた。

あとはその後、初めてアリエッティと対面して言葉を交わすシーン。「君たちは滅びゆく種族なんだよ」と。守ってあげたかったと思いながら、滅びゆく種族だ、そういう運命だと言い放つ。
一見理知的で賢そうに見えるけど、こういう配慮に欠けたところは子供らしいっちゃ子供らしい。たぶん普段ならそんなことはしないけど、やっぱ手術を控えて半ば死を覚悟していたのが大きかったんだと思う。「どうせ自分はもうすぐ死ぬんだし」って気持ちがあったから、その前に何か「良い行い(アリエッティを守ること、曾祖母が作ったドールハウスを渡すこと)」をしておこうと思った。翔のエゴですね。

で、一番面白いのがやっぱり家政婦のハルさん。小人に対する扱いが完全に、新種の生物を見るマッドサイエンティストのそれ。http://trynext.com/story/photo/arrietty-08.jpg

観察力の鋭さといい情熱といい、研究者気質ですよね。転職するべき。


ラスト

最後に二人が言葉を交わすところ、めっちゃ切ない。ため息ついちゃう。


この少し前、アリエッティがミーヤをじっと見つめて、それからミーヤが翔を呼びに行くシーン。あれってトトロか何かに似たシーンがあった気がするんだけど、勘違いかな。


なんでこんなに切ないんかなぁと考えたんですが、やっぱり小人と人間という成就しえない恋ってことと、結果的に小人と人間は共存できず、別れは避けられなかったこと。もうひとつは、単純に交わした言葉があまりに少なかったことかなと思う。
http://pic.prepics-cdn.com/7emmnrsy7/10042907.jpeg


結局翔の手術はどうなったのかなって思ったら、一番最初にさらっと「僕はあの年の夏、母の育った古い屋敷で一週間だけ過ごした」って言ってますね。翔の幽霊説もなくはないけど。

借りぐらしのアリエッティ [DVD]

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