「失敗して終わる」と分かっているから面白い

今帰省中なんだけれど、下宿にはない炬燵のあったかさと何とも言えない安心感にびっくりしてる。日本に生まれてよかった。


昨日今日と数か月ぶりにまともにテレビを見ている。昨日はナウシカで、今日は「最強スポーツ男子頂上決定戦」と言う番組をやっていたのでさっきまで見ていたんだけど、鍛えてる男ってやっぱ超かっこいい。「最強スポーツ男子~」は6種目ある競技を競い合い、総合ポイントが高い人が優勝する。その競技には昔よく見ていた跳び箱の「モンスターボックス」もあったりして、なかなか楽しかった。


もちろん選手たちのダイナミックなプレーも興奮するんだけど、その勝ち方がなんだか面白い。モンスターボックスは6競技中唯一、「失敗して終わる」競技だからである。


モンスターボックスは跳び箱の高さを一段ずつ高くしてゆき、一番高く飛べた者が優勝だ。今日のは最終的に3人が優勝したが、その全員が「20段に成功」し、「21段に失敗」した。誰も21段に成功しなかったため、結果的に3人の優勝者が出たのだ。最後に全員の顔が映ったが、みな優勝したというのに苦笑い。21段に「失敗して終わった」からだろう。


仮に一人だけ21段に成功していたらそのまま競技が続行するのだろうか。わからないのだけど、もしそうだとしてもいつかは跳べなくなる。文字通り「越えられない壁」にぶつかって終わるのだ。例えばトーナメント形式の競技では相手に勝ちさえすれば優勝できるし「勝って終われる」けれど、モンスターボックスは完全に自分の限界との戦いで、しかも必ず失敗して終わる。考えてみれば結構残酷な競技だ。たぶん100%の嬉しさで終わることはないのだから。その人に実力があって向上心が高いほど、嬉しさより悔しさの割合のほうが大きいだろう。


しかし逆に言えば、これがモンスターボックスの面白さかもなと思った。1対1の競技だと、明らかに実力に偏りがある場合なんかは見ているだけで退屈だ。でもモンスターボックスは、どんなに強い人にも高い壁が次々立ちはだかってくる。視聴者はみな、いつかその人が「失敗して終わる」と分かっている。だから応援したくなるし、跳べそうもない高さをクリアした時は興奮する。それでも最後は失敗して悔しそうな顔を見せるが、その時は「でも、よくやった!」と声をかけたくなる。この競技がいつからお茶の間を賑わしているのか知らないけれど、「失敗して終わる」と分かっている、というのはこの競技の面白さのひとつだろう。やっぱり長く続いているものって、見ている人を魅了してやまない何かがあるんだろうなぁと思った。

ポケットモンスター モンスターボールBW

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