僕は普段、全くと言っていいほどゲームをやらない。別に嫌いと言うわけではないのだが、わざわざお金を出して買ってまでやるほど好きではないのだ。しかしそんな僕が唯一得意なゲームがある。「マリオカートDS」だ。
高校に入って最初の年、僕はゲームボーイ・カラー以来となるゲーム機を買った。それがDSLiteだ。しかし肝心のソフトはと言うと、適当に面白そうだと思って手に取ったマリオカート一本しか(当時は)買わなかった。今思えばかなりもったいないことをしているのだが、それを買った僕はとにかくマリオカートに熱中し、夏休みには部活の先輩の手ほどきを受けながら腕を上げた。自分で言うのもなんだがかなりのレベルに達していると思う。
実際高3の時にクラスで行われたマリオカートの大会では2位と半周差をつけてぶっちぎりで優勝し、友人に(あと女子にも)ドン引きされてしまったほどである。しかし本来ならみんなでワイワイガヤガヤやりながら誰が勝つかわからない白熱したレースになるはずが、一人のKYなレーサーによってワンサイドゲームに変貌したのだから興ざめである。ワイもガヤもありゃしない。周りの(というか女子の)反応をみてちょっぴり心を痛めたチキンハートな僕は、それ以来ハンドルを握ることをやめた。
そんな僕は今普通自動車免許を取るべく車校に通っているのだが、教官にしょっちゅう注意される“クセ”がある。それは「交差点などを曲がるとき、曲がる方向とは逆方向に一度ハンドルを切ってしまう」というものである。
このような交差点があったとする。ここで僕は左に曲がろうとするのだが、
その時このように、一旦右にハンドルを切ってから曲がろうとしてしまうのだ。
車を運転されている方ならお分かりだろうが、これは非常に悪い癖である。試験でこれをやれば即不合格だろう。しかしわかっていながらも、僕はなかなかこのクセを直せずにいるのだ。わかっちゃいるけどやめられない。その根本にあるのが、親指にマメができるほどやり込んだマリオカートの「カーブを曲がるイメージ」が脳裏に焼き付いて離れないからじゃないかと思っている。
他にカーレース系のゲームを知らないので何とも言えないが、マリオカートではカーブを曲がるとき少し逆方向にハンドルを切り、ドリフトを利かせてから曲がる。曲がった後の初動スピードと加速度、そしてハンドルコントロールの点から言って当然の操作なのだ。これはもう僕の体に完全に刷り込まれた一連の流れであり、マリオカートにずいぶん長く手を付けていない今でさえ、頭より先に体が反応するレベルでイメージが焼き付いている。そんなわけで、直そうとしても気を抜くとすぐにまたやってしまう超厄介なクセなのだ。
しかしこうやって苦労する羽目になってはいるが、僕はあの時、マリオカートをやり込んだことを後悔していない。あれほど己の技術を高めんと日夜努力に励んだことを誇りに思っているからだ。鬼教官から「またやってる!」と叱られながら半泣きで実習にいそしむことになろうとも、小さなプライドをこの胸に勲章みたいにつけて・・・
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