俺の上司はニューヨーク
仕事とは自分を都市化することだなぁと思う。よく整備された都市には人も情報も仕事もたくさん集まり、さらに大きく発展してゆく。道は綺麗に塗装され広く長く伸びてゆき、ほかの都市と結びつく。
新人はまだ何もない田舎町か新興都市。あるいは都市の一区画。大きな街の近くでその恩恵を受けながら、行政を整え、人も通れない砂利道獣道を平らにならし、押し広げようとてんやわんや。道とはつまり確かな知識と人間関係。何度も繰り返し整備し、数を増やし、人の行き来が増えていけば、徐々に利用する人も増えてくる。
便利で大きな都市には人も情報も集中する。仕事ができる人ほど多くの業務が舞い込むのは、そこに持っていけば大体のことは解決の糸口がつかめるし、少なくともなんらかの情報が得られるから。ここまで大きくなるのも考えものだな、と思う都市もたまに見かける。まぁ自分の上司がそれなんだけど。
田舎で多少不便でも、そこにしかない何かを提供できるなら便利さだけが価値あるものとは限らない。が、意外とこれは目指すのが難しい。イメージ的には釣りバカ日誌のハマちゃんとか、部署の可愛い女の子。そこにいるだけでとりあえずよし、みたいな。単純な都市化ならある程度工程が見えていて、楽といえば楽なのだ。
興味のない人間には興味がない
葬式に出るのは人生で三度目だった。一度目は幼稚園の先生、二度目は母方の祖父。そして今回は父方の祖父が亡くなった。祖父の死はうすうす覚悟していた。その一カ月ほど前、一時は危篤状態となるもなんとか意識を取り戻し、こちらの言葉に応答できるまでになっていた。しかしベッドで首を起こすこともできずにいるその姿を見て、なんの予感もしなかったといえるほど、無邪気に回復を信じることはできなかった。
葬式はごく少数の身内のみで、ひっそりと行われた。俺は葬式というものについて考えていた。数は少ないとはいえ、出席した人はみな多かれ少なかれ、自分の生活の合間を縫って、あるいは少々の無理をして、そこへ駆けつけていた。葬式とはそういうものだと言われればそうかもしれない。俺の会社も規定にのっとり、三日間の忌引き休暇をくれた。葬式とはそういうものだし、たとえ忌引きがもらえずとも、俺は出席しただろう。が、一方で感じたのは、優先すべきは生きている者の都合だろうということだ。もしその日が大事な試験の日か、あるいは就職の最終面接に臨む日だったとしたら、俺は出席しただろうか?おそらく答えはNOだ。生きている者がその生活を犠牲にしてまで出向くものではないと思う。そうであってはならない。
そうあってほしくない。
♢
「おまえ人間に興味ないよなー」と、いわれた。図星だった。こいつには見抜かれているだろうと思っていたが、まぁ他の人もわざわざ言葉にしないだけで、言ってはこないだけで、見抜かれているのだろう。そう思えばこうしてはっきり本人を前にして口にしてくれるというのは、どれほど優しいことか。「おまえは冷たい人間だ」などと俺を評しているのではなく(その意も全く含まれていなかったとは言い切れないが)、ただ事実を述べているだけであるように見えた。とはいえ、「人間に興味がない」とはいささか言い過ぎだろう。「興味のない人間には興味がない」が正しい。・・・やはり俺は冷たい人間かもしれない。
小学生の頃は、一日中草むらで虫取りをしていても全く飽きなかった。人間にも、昆虫と同じくらい興味が持てればいいのにと思う。
掘りだしものがいいんです
アパートから自転車で3分かからない距離にでっかい本屋があって、最近は毎日のように通ってる。なにしろ24時まで空いてるから仕事帰りだって余裕で行けてしまう。一か月にどれくらい書籍代(漫画本含む)に費やしてるのか・・・あまり計算したくない。
なかでもやっぱり漫画が好きなので、よく買う。ただ、最近話題だとか、累計何十万部とか、アニメ化しましたみたいな煽り文句で本屋が売ろう売ろうとしてくる本にはあまり手が伸びない。こういうとき無駄に天邪鬼なせいでたまに損してる。読んでみればむしろ面白いことのほうが多いんだけど。
でもどうせ買うなら自分で開拓したい。掘り出し物をみつけたい。
それが実際のところ有名だったり、売れてる漫画だったとしても関係ない。「自分で見つけた!」と思えればそれでいい。
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放課後さいころ倶楽部 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
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このへんは特によかった。「掘り出し物」は褒め言葉って信じてる。