腐ったみかんに感じる愛情

先程実家の親から荷物が届いて、中を見るとみかんが入っていた。


僕は大学に入ってから下宿で一人暮らししているが、こうしてたまに親から食べ物やら生活用品やら入った荷物が届く。万年金欠の貧乏学生にとってこれほどありがたいことはない。正直自炊なんてほとんどしないし、気が付くと一日何も食べず水だけ飲んで過ごすなんてこともザラだ。たぶん母も僕のこういう自堕落な性格と生活を見抜いているのだろう、僕の体の栄養バランス崩壊2歩手前くらいの絶妙なタイミングで食料を供給してくれる。しかも僕はみかんが大好きだ。


しかし今回は少し趣が違った。送られてきたみかん、なんとその3割ほどが腐りかけていたのである。


こういうとき他の人ならどうするのだろう。気にせず残りの7割を平らげるのだろうか。それとも慎重を期して捨ててしまうか。結論から言うと僕は食べた。多少の腐りなど気にしないワイルドな男だから。ではない。単純に気づかなかったのだ。あっぶね~。


しかし考えてみれば、この腐ったみかんこそ親の愛情の証ではないか?流石に荷物に詰めていた時点で腐っていたとは考えにくい。とすれば、このみかんは配達されて荷物が届くまでの1日ほどで傷んでしまったということになる。これが長いのか短いのか正直わからないのだけど、少なくとも余計な、食べ物を腐りにくくするような薬、化学薬品は使っていないということではないか。それはまさしくこのみかんが無添加に近いということであり、なるべく僕の体にいいものを、というこれを選んだ親の愛情の証左ではないのか。ここまで考えて、あやうく腐ったみかんを食べさせられそうになった僕の怒りは親への感謝に変わった。あとで電話の一本も入れておこう。


と、ここまで考えてふいに小腹が減ってきた僕は、みかん以外の荷物を漁る。ちょうど中にカップラーメンが入っていたので、お湯を沸かすことにした。沸騰するのを待ちつつふとそのカップめんの側面を見ると、賞味期限が記されていた。

賞味期限:2013.3.19

あやうく僕の頭が沸騰しかけた。



訳あり 和歌山県産 有田 みかん 5kg お徳用

訳あり 和歌山県産 有田 みかん 5kg お徳用

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