日本代表の敗戦に少しほっとした

コロンビアに負けて、日本代表のWCは一次リーグ敗退が決まった。コートジボワール戦もギリシャ戦も見たのに最後だけライブで見れなくて残念。個人的にはそれなりに期待してた。サッカーファンってわけじゃないから選手やチームの詳しい知識はほとんどないけど、一応元サッカー少年なので観戦は楽しい。今大会はなんだか点がよく入るし、思わず目を見張るプレーも多い気がする。


僕は下手くそだったけど、サッカーをしてた頃は周りには上手いやつがごろごろいた。小学生でU‐12の日本代表に選ばれた人、Jリーグ傘下の少年チームでプレイしていた人、高校で全国大会に行くような人。当たり前だけどずば抜けていて、彼らのライバルは3つ4つ上の選手たち。試合に出れば開始5分で相手監督から警戒され、ほぼ5人がかりでマークされた上で全員抜き去ってやすやすとゴールを決める。近くにそういうやつがいれば、マラドーナみたいなスーパープレイも割と日常茶飯事だ。しかもそんなやつにさえ、「絶対敵わない」と言わしめる名も知らぬ選手がいたりするから目が回る。実感できる「上手さ」のキャパを軽く超えている。

そういう日本人離れした身体能力と並外れたセンスを持った選手が熾烈な競争の末チャンスを掴んで認められ、上へ上へと上がって登り詰めたピラミッドの頂点、1%以下の一握りが今の日本代表選手だろう。怪物だ。


しかしそんな日本最高峰の天才集団でさえ、ワールドカップで一勝すらできない。


今日の敗戦は、そんな天才たちの挫折。国内ではほぼ負けなしのスーパースターなのに、世界を相手では決定力不足の、退屈なアジアの一チームでしかない。負けたのを責めてるんではない。ただ大げさに言えば、なにがなんだかわからない。あんたたち天才じゃなかったの?と。どうしても信じ難い。

才能に恵まれた人って苦労がないんだろうな、人にたくさん認められて、さぞ生きやすいんだろうなと思っていた。今も少し思ってる。天才に挫折なんてあるわけない、どーせ都市伝説でしょ、みたいな感覚だ。

同じようなことは別にWCでなくても、オリンピックなんかで感じることもあるが、実感として昔やっていたスポーツでそれを思い知るのはまた別だなと思った。僕が1対1でボールを取りに行ってもかすりもせず抜き去る選手がいるように、その選手もまた別の場所で抜き去られているのだ。


試合を重ねるごとにプレッシャーは大きくなり重苦しさを増す中で、ここで下手に“奇跡”が起きてしまうのもなんだか胡散臭い。そのまま迫りくる四方の壁に押しつぶされるのも一興だ。あれ、案外いけるんちゃう?って感じになり、またいつものようにトーナメントまで残ったことで「まぁ頑張ったよね」みたいな満足ムードが漂うのは気持ち悪い。


この状況で最後まで走れることも、試合後の頭が真っ白な状態に同じような質問を繰り返しぶつけてくるリポーターに誠実に答えてくれる長谷部も凄い。勝ったらお祭り騒ぎでヨイショヨイショと持ち上げられ、負ければ決定力不足だなんだと責められる。責めようなんて気は全くしないし、でも頑張ったじゃないとかばう気もあんまりない。すげぇなと思うばかりだ。

日本代表の皆さん、お疲れさまでした。超かっこよかった。


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