世界の名作児童文学・おすすめ14冊を紹介してみる

僕が初めて海外文学に触れたのは小学4年生の頃、「ハリーポッターと賢者の石」だ。
母に薦められていやいや読み始めたのに、そのあまりの面白さに一気に読み切ったのを覚えている。

ハリー・ポッターと賢者の石(携帯版)

ハリー・ポッターと賢者の石(携帯版)

まだハリーポッターシリーズを読んだことのない人、映画しか観たことがないと言う人は読んでみて欲しい。きっと読んだ次の日には浮遊術を唱えながら「ひゅーんひょい」と無意識にボールペンで空を描いていることだろう。

さて、これがきっかけとなり読書にハマった僕は、たまたま家にあった「世界の名作集」なるものを片っ端から読んだ。今日紹介するのはその中でも特におすすめの、世界の名作児童文学だ。まだ未読のものがあればぜひこの機会に読んでみて欲しい。
来年は2014年ということで(上のハリーポッター含め)14冊選んでみた。

黄金虫

黄金虫

黄金虫

黒猫・黄金虫 (新潮文庫)

黒猫・黄金虫 (新潮文庫)

エドガー・アラン・ポーの冒険小説。史上初めて「暗号」を用いた推理小説だ。
挿絵の不気味な髑髏が放つ雰囲気と奇怪な暗号、幾重に張り巡らされた謎をひとつひとつ解いてゆく興奮がたまらなかった。長さも短編集に収録されるほどなので、読みやすいはずだ。

ピーターパン

ピーター・パン (岩波少年文庫)

ピーター・パン (岩波少年文庫)

ピーター・パン [DVD]

ピーター・パン [DVD]

ディズニー映画はあまりに有名だが、果たして原作の小説を読んだことのある人がどれほどいるだろうか。永遠の少年たろうとするピーターと子供たちの苦悩やフック船長との戦いは、小説のほうがエキサイティングで深く、面白い。映画では描かれないウェンディの「その後」も、実は小説には出てくる。

ちなみにピーターパンの続編として「ピーターパン・イン・スカーレット」も出版されている。

ピーター・パン イン スカーレット

ピーター・パン イン スカーレット

  • 作者: ジェラルディン・マコックラン,デイビッド・ワイアット,こだまともこ
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2006/12/01
  • メディア: 単行本
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これははっきり言ってしまうと、あんまりおもしろくない。ので、お薦めはできない。
正直これに比べると、原作の方が10倍面白く完成度が高い。ピーターパンの小説が読んでみたいという方は、まずはそっちを読むことをお勧めする。

海底二万里

海底二万里(上) (新潮文庫)

海底二万里(上) (新潮文庫)

海底二万里(下) (新潮文庫)

海底二万里(下) (新潮文庫)

謎の人物・ネモ船長が操る潜水艦ノーチラス号に、主人公のアロナックス博士たちが乗り込み海底を旅するSF冒険小説。世間を離れ海底深く潜った船長の過去、海の生物たちが描かれる。
船長の抱えた悲しみの深さが、ノーチラス号が進む海底よりも深く思える。人間の負の感情に迫る、大好きな小説である。

家なき子

家なき子〈上〉 (偕成社文庫)

家なき子〈上〉 (偕成社文庫)

原作は孤児の少年レミが旅芸人のおじいさんと共に旅し、出会いと苦難を乗り越えて成長する物語である。その人生は「一難去ってまた一難」で、山はなくて谷ばかりの辛く厳しいものだ。こんなことあってたまるかと、今は見る影もない純粋さで当時の僕は思った。主人公本人と言うよりは主人公の歩む「人生」とか「運命」みたいなものに魅せられる作品。
ちなみに「家なき子」でググるとドラマのほうが上にくるが、僕はそっちを見たことはない。

宝島

宝島 02 宝島

宝島 02 宝島

宝島 (岩波少年文庫)

宝島 (岩波少年文庫)

僕の中で海外文学の「3大冒険小説」のひとつである。冒険小説の金字塔。
この小説を最も魅力的で面白くしているのが、主人公たちの敵として登場するシルバーだと思う。シルバーこそこの「宝島」のメインキャラクターと言っていい。なんといっても一番「人間臭い」のである。とにかく読んでみることをお勧めする。

ちなみに僕の「3大冒険小説」は海底二万里と宝島、最後は次に紹介する「十五少年漂流記」である。

十五少年漂流記

十五少年漂流記 (新潮文庫)

十五少年漂流記 (新潮文庫)

年端もいかない少年15人が乗った船が無人島に流れ着いた。そこで彼らは長く厳しい2年間を生き抜く。たった15人の少年たちがつくるちいさな「社会」だが、年齢も国籍も人種も違い、時に派閥争いや対立、リーダーを決める選挙などが行われるそこは、まさに実際の社会の縮図だ。「黒人だから選挙権はない」という「常識」が平然と子供たちの間にさえまかり通る描写に、この話が書かれた当時の社会を垣間見ることができる。

ドリトル先生航海記

ドリトル先生航海記 (岩波少年文庫 (022))

ドリトル先生航海記 (岩波少年文庫 (022))

動物語を会得したお医者さんのドリトル先生と動物たちの冒険を描く。彼の「家族」である犬やオウム、アヒル、チンパンジーなど、それぞれ強烈な個性と魅力をもつキャラクターたちで、人間より人間臭くて、なんだか笑ってしまう。彼らの力や知恵を借りつつ、ドリトル先生が様々なところを冒険する愉快で楽しい物語である。シリーズは全12巻。

パール街の少年たち

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パール街の少年たち (偕成社文庫 3011)

パール街の少年たち (偕成社文庫 3011)

小学生の頃は、友達と遊ぶときは家でテレビゲーム、なんてことも多かった。昔は日本でもこんなことがあったんだろうかと、これを読んで憧れたのを覚えている。

ガキ大将の「赤シャツ団」から自分たちの「空き地」を守るため闘う少年たちを描く。スパイを送り込んだり、基地に工夫を凝らしたりと、一生懸命「少年」している姿にわくわくする。しかしこの作品の真の面白さはラストの「オチ」だ。実にあっけなく、無常な終わり方。かなりおすすめの作品だ。

車輪の下

車輪の下 (集英社文庫)

車輪の下 (集英社文庫)

車輪の下ってことは車輪の「上」があるんかな?と思っていた当時の僕。なんとなくタイトルに惹かれて手に取った。

読み進めていくうち、暗い闇にずぶずぶと体を沈めていくような感覚に陥る。「神童」と呼ばれるほどの頭の良さゆえに、内に内に籠って自問自答を繰り返し、そして潰れてゆく―――けっして読んでいて楽しい物語ではないが不思議な魅力がある。

坊ちゃん

坊っちゃん

坊っちゃん

「世界の児童文学」と銘打っておきながら日本の文学。しかし夏目漱石の「坊ちゃん」は世界に誇る名作と言っていい(はず)だ。

「坊ちゃん」の魅力はなんと言っても人間味あふれる愉快なキャラクターたち。気性の荒い主人公とたぬき、山嵐、赤シャツ、そしてマドンナ。愛媛県松山を舞台にしたユーモアたっぷりの物語だ。ちなみにそこに登場する「道後温泉」は日本で最も古い温泉のひとつであり、「千と千尋の神隠し」に登場する温泉旅館のモデルとなった。

シャーロックホームズ

シャーロック・ホームズの事件簿 (新潮文庫)

シャーロック・ホームズの事件簿 (新潮文庫)

探偵小説といえばこれである。今読んでもなおホームズの見事な推理とおちゃめな助手のワトソンの冒険は魅力的だ。そういえば昔は、どうしてホームズはそんなに頭もよくなさそうなワトソンなんかとコンビ組んでるんだろうと不思議に思っていた。正直今もよくわからない。

ホームズシリーズでどれか一つ選ぶとするなら、僕は「バスカービルの犬」を推したい。ホームズと互角に渡り合うキレる頭をもつ敵との戦いは素晴らしい。

バスカヴィル家の犬 (新潮文庫)

バスカヴィル家の犬 (新潮文庫)


怪盗アルセーヌ・ルパン

ホームズと双璧を成す推理冒険小説。この人に不可能はないんじゃないかと思わせるルパン。得体の知れなさと常に余裕をもった振る舞いがカッコイイ。
ルパンシリーズのお薦めは「奇巌城」。

奇巌城 アルセーヌ・ルパン

奇巌城 アルセーヌ・ルパン

奇岩城 (新潮文庫―ルパン傑作集)

奇岩城 (新潮文庫―ルパン傑作集)

ルパン対ホームズ

ルパン対ホームズ    怪盗ルパン 文庫版第3巻

ルパン対ホームズ 怪盗ルパン 文庫版第3巻

書いたのはルパンの原作者・ルブランだが、ホームズとルパンの死闘を見事に描いている。「どんな謎も解いてしまう」名探偵と「どんなものでも盗んでしまう」怪盗が対決したらどうなるか?推理小説史上最も熱いホコタテである。コナン・ドイルは勝手にホームズを使われたことに怒ってしまったらしいが、これ以上の対決はないと個人的に思う。なのでこの作品だけ独立して紹介してみた。
そういえばそろそろルパン三世VS名探偵コナンの映画が上映されるはず。前回?のは「対決」とは程遠いものだったが、今回のはどうなんだろう。

以上が僕が大好きな世界の児童文学たちだ。
まだ未読のものがあれば、一度読んでみるのもいいのではないだろうか。また子供の頃に一度読んだことがあった作品も、大人になった今読み返すとまた違った感想がある。ここで紹介したものに限らないが、時空を超えて読み継がれてきた「名作」と呼ばれるものにはハズレがない。読んで損はないのである。そして子供だけでなく、大人になってなお十分楽しめる作品が多い。これを読んで興味が湧き、作品を読んで「やっぱり名作だなぁ」と感じてもらえればとても嬉しい。

Kindle Paperwhite(ニューモデル)

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