「成長すること」と「大企業の実態」について参考になったエントリーをもとに考えてみた。

大企業のほうが成長できるとか完全にウソ - Chikirinの日記

先日のちきりんさんのエントリー。かなり煽ってきてます。
僕もこれから就職する身なので、みて見ぬふりもできない。

そろそろ落ち着いてきたようなので、今日はその反響を読んだ感想も含めて、思ったことを書いてみたい。

成長することについて

まずはちきりんさんのエントリーの主題である「成長すること」について。
この点に関してはこちら⇒「大企業のほうが成長できるとか完全にウソ」だけどそもそも成長したいと思ってる人が少ない - razokulover publogで述べられているように、「そもそもみんな成長したいのか?」「成長しなきゃダメなのか?」ってとこから僕も疑問に思った。

はじめに僕の立場を示しておく。僕は大学を卒業したらまずは、大企業に入りたいと思っている。

会社に入って一番驚いたのは世の中には「全く向上心がない人」が相当数存在するんだということです。

id:razokuloverさんがおっしゃるには、何も僕のような学生ではなく社会人になられている方でも「向上心」がない人がかなりいるらしい。そもそもちきりんさんの主張の大前提は「成長はしなければならない」という点である(しかも内容からするに「急激に」成長するべし、と言っているように見える)。そこが否定されるなら、大企業だろうがベンチャーだろうが関係ないはずだ。実際、向上心がなくても生活できている人が一定数いるのは事実らしい。


けれどだからと言って、僕らのようなこれから社会に出ていく世代にも「成長は必要ない」ということにはならない。やはり今と昔では状況は変わっていると思う。成長する必要はあるけれど、要は「どうやって」「どれくらい」成長しなければならないのか。そこが重要なのだ。



ベンチャーや外資系に入って揉まれるほど早く成長はできないが、大企業にも良い点はある。ちきりんさんはかなり皮肉っぽく書かれているが要は、「大企業には安定した環境がある」ということだろう。僕はこれを読んで「なーんだ、それでいいじゃん」と思った。


めちゃくちゃな状況でがむしゃらに頑張ることが急激に自分を成長させるというのは、僕も少ない人生の中でなんとなく知っている。だらだらと毎日練習するより、2週間くらい合宿にでも行って練習に打ち込むことで得られる成長は、運動部に入っていた人ならもれなく経験済みかと思う。しかしそれにしても、向き不向きがあるのは事実だ。しっかり安定した状況に置かれることで仕事に集中して打ち込める人だっているはずだし、むしろそっちの方が多いのではないか。環境によっては急激に成長できる人もいるだろうが、それがなかなかできない人もいる。おそらく僕は後者のタイプだ。

関連エントリーを読んで「大企業の実態」が見えてきた

成長うんぬんはさておいて、ちきりんさんのエントリーへの反響を読んで興味深かった点がある。大企業とはどういうものかという点に関しては、ちきりんさん含め皆、意見が一致しているということだ。この論議で得た一番の収穫はまぎれもなく、「大企業の実態」について多角的視点から知れたことである。


各エントリーで述べられている大企業の特徴を、ざっと並べてみる。

メリットは、

・研修制度はかなり整っているし、ビジネスマナーもきっちり学べる
・中にいる人たちはとても優秀
・大企業のネームバリューと信用が得られる
・福利厚生がしっかりしている

デメリットは、

意思決定がとにかく遅い
・リーダーシップを学ぶチャンスが少ない
・かなりの縦割り分業制

といった所だろうか。
それでは気になったものをひとつひとつ見ていく。

整った研修制度と環境

ちきりんさん

大企業だと、

1)年に二回、全社員に海外転勤の希望を書かせる

2)希望者に関しては、語学研修を始める

3)希望者が少ない場合には、海外支社の仕事に興味を持ってもらうために、社内説明会を開く

4)外部研修会社を雇い、何十万円も払って「異文化理解を理解するための研修」を受けさせる

・・・
みたいなプロセスになるわけです。
たしかに「研修制度は大企業のほうが整ってる」よね。

夕子 (id:emotto) さん

大企業なら、1年目以降も外部の高額な研修・セミナーへ経費で参加出来たりする。

高額な専門書も買ってもらえるし、資格取得や語学学習にも積極的。

社内に有能な上司、先輩が必ずいるので、質問することも出来る。

大企業で学んだ堅苦しいビジネスマナーや幅広い層の人と働くスキルは、今でも活きている

受付担当がいたり、清掃業者を頼んでいたり、外線が沢山あったり、外線応答は派遣社員に任せたり…ということが大企業の方が出来るので、業務に集中出来る。

環境が整った場所できっちり学ぶか、最初から実践実践でガツガツ吸収するかの違いはあるけど、とにかく大企業に整った研修制度があるのは間違いなさそうだ。ベンチャーにはどうやら「育てる余裕」がないのも大きいらしい。

社員と組織

これについては大企業とベンチャー企業の社員・組織両方について述べられているので、比較する形で見てみる。

社員について

【大企業】の社員

夕子 (id:emotto) さん

社内に有能な上司、先輩が必ずいるので、質問することも出来る。

高学歴の多い組織になる。高学歴+大企業勤務だと、ある程度自尊心が満たされているので、中学生みたいなイジメはない。

id:colopon さん

逆に④(業界最大手的な会社)ともなると、さすがに賢いのでその辺もわかってて、仕事もよく覚えるし人あたりも良いという不思議。


【ベンチャー、小規模企業】の社員

夕子 (id:emotto) さん

ベンチャーや零細企業だと、ちょっとしたことで怒鳴ったり、場合によっては殴ったり、セクハラが半端なかったり…という話を聞く。
大企業で働けば、余計なことで悩むことも少ないだろう。

でも、ベンチャーに集まる人は偏った人が多い。20代中心だったり、意識の高い人しかいなかったり。(40代でもシニア層扱い、一瞬でも意識が下がるとゴミ扱い)

id:colopon さん

(100人くらいのベンチャー企業では)ノリがサークルノリのような部分があって、ノリ悪いと仕事に響く可能性。人数が少ないので自分のキャパ以上のでかいタスクが振られて心折れるひともいたり。創業メンバーの意思が強く反映されるので、後から入ったメンバーとの熱量の差が問題になったりする。

組織について

【大企業】の組織

夕子 (id:emotto) さん

一方、大企業はマターリした雰囲気のところが多い。業務も細分化されており、成長のスピードも遅い。

id:colopon さん

自分でやってる感はほとんどなくて、上からの意思で動くことが多い。上長へ説明する資料作成で一日が終わる。上長のOKがでないと何もできない。

超絶縦割り分業制。大企業内独自のツールやルールが大量にあるので、転職したら使えないスキルばかりが身につく可能性が高い。自分がやった感のある仕事はほとんどない。上長への提案さえかなり少ない。何か尖ったことを一つでもやってしまえば全力で消される。がんじがらめのルールさえ守ればいいんだけど…。


ちきりんさん

・リーダーシップを鍛える機会が、最初の数年間ほとんどなかったり、
・「環境が整ってない場所ではビジネスなんてできません!」みたいな人や
・成果が問われる経験もリスクをとる経験もまったくないまま、「社会人3年目が終わりました」みたいな人を量産してしまう。

日野瑛太郎 (id:dennou_kurage)さん

何か意思決定をするのによくわからんプロセスがあったり、根回しが必要だったり、派閥があったり、しょうもない足の引っ張り合いが行われたりなどなど、大企業というのはおよそ「非効率」と「理不尽」の宝庫である。

いずれ自分がリーダーシップを発揮する立場になるつもりがあるなら、最初に「べからず集」を叩き込むのはいいことなのかもしれない。

【ベンチャー・小規模企業】の組織

夕子 (id:emotto) さん

やっぱり、ベンチャーの方がスキル面、知識面での成長のスピードは速いとは思った。(成長せざるを得ないところがあるので、休日も勉強したりして資格を取ったり、テクニカルスキルも上がったり)

id:colopon さん

フットワークがめちゃめちゃ軽く、次々と新事業や新規タイトルを立ち上げて人をアサインしていくので、状況がめまぐるしく変わって飽きない。しかもまれに大きく成功するので、自分がやった感のある成功体験ができる可能性が高い。

部署単位に意思決定権が付与されているので、実は①のベンチャーよりやりたいことはやりやすい。予算のかからないことは即やらせてくれる。自分で決めたことに対して成功や失敗のフィードバックがダイレクトにすぐ返ってくるので、PDCAサイクルを回すのもめちゃめちゃ早くて経験をたくさん積める。(200人くらいの老舗寄りの会社)

大企業はひとりひとりの社員は優秀だが組織となると非効率的なものだらけ、逆にベンチャーなどは人材にバラつきはあるもののフットワークが軽くとにかく経験をたくさん積めるらしい。

大企業のネームバリューと福利厚生

夕子 (id:emotto) さん

大企業なら企業年金、日本版401k(確定拠出年金)、財形貯蓄、従業員持株会などなどファイナンスサポートも多く

「ベンチャーで1年みっちり鍛えました!!」よりも、「大企業でまずは石の上にも3年頑張りました」の方が評価されると思う。それが日本。

id:colopon さん

ネームバリュー的恩恵は最大限に受けられる。一度は使ったことがあるようなサービスに携われる。ほぼすべてのことがマニュアル化されているので、悩む仕事はかなり少ない。だけど給料多め。しばらくは潰れないという安心感もある。

みんな知ってるものに携われる可能性があるので、親とか友達に仕事の説明がしやすい。履歴書でもアクセント的になる場合があって、なぜか、すごいやつかもしれんと思われる可能性がある。

ちきりんさん

安定や名前が重要と思ってる人には評価される

福利厚生がしっかりしてるから、病気がちだったり長期休暇が大事な人には向いてる。

大企業の方がネームバリューがある分信用されるし、他企業と仕事するときなんかはかなり効果があるということか。
それに規模が大きいぶん、ダイナミックな仕事に関われそうだ。

まとめ

ここまで主に大企業について、分かったことを並べてみた。
いずれも経験豊富そうな方だし言っていることはかなり共通したものがあるので、信用に足ると思われる。

はじめに述べたように、僕は今の時点では大企業に入りたいと考えている。
ただしid:coloponさんやid:dennou_kurageさんがおっしゃるように大企業だけに絞って就活したり、企業単体をしっかり見ることをしないと失敗する。どちらにせよ広い視野をもって、思い込みで突っ走ったりしないことが大事なのかなと感じた。

いずれ就職するときはこのことをしっかり心に刻んでおきたいものである。

以下、参考エントリーです。

「大企業のほうが成長できるとか完全にウソ」だけどそもそも成長したいと思ってる人が少ない - razokulover publog

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