経験から学ぼうとしたけど結局同じ失敗を繰り返しそう

僕は結構最近まで映画館でアルバイトをしていた。今はもう辞めた。


バイトには映画館のHPにあった募集をみて応募した。
当時アルバイト自体はじめてだった僕は、最初からドキドキしっぱなしだった。

研修から始まって、レジの打ち方、チケット販売機の操作、もぎりの仕事、館内の清掃、スクリーンチェックなど、覚えることが多くて若干パニックになりながら必死で頑張った。

それでも始めて3,4カ月もすると、だいぶ緊張も取れてくる。仕事もあらかた覚えた。


そして夏休みに入った。映画館としてはまさにかき入れ時で、ここで稼がなにゃいつ稼ぐって感じである。お盆期間などは社員もバイトもへったくれもない。皆総動員で駆り出されるのだ。シフト希望出してなかったらマネージャーに呼び出されちくちく嫌味を言われる。


夏休みに備え、2か月ほど前から新商品のドリンク、ポップコーンについて知らされたりイベント情報について確認があったり、そんなことが増えてくる。来たるべき決戦の時へ向け、スタッフ間に殺気立った空気が蔓延してゆく。周りの先輩たちは海千山千の戦士の顔になっていた。


僕はそんな雰囲気にちょっとビビったが、若干ながら生まれてきた慣れと自信と慢心によって『奥義・なんとかなるっしょ』を発動し、不安を押し込めてのほほんとしていた。



そしてお盆に入った。
僕は自分の予想の甘さを思い知った。


まず動員数(お客さんの数)が全く違う。
ピークの時間帯は、館内がすべて人で埋まる。特に映画館へ出入りするお客さんが入り乱れる時などは最悪だ。大げさでも何でもなく、自分ひとり分のスペース以外は右も左も前も後ろもすべてお客さんだ。

それだけ人が多いと当然トラブルも多い。お客さんはポップコーンやドリンクを床に盛大にぶちまけ、ストアに置いてあるラックを倒して商品をぶちまけ、スタッフにクレームをぶちまける。その対応を通常の業務と並行して行うのだ。もう無我夢中である。


お盆初日は10時間近く働いた。疲れ切って家に帰り、そのままベッドに倒れ込む。
あー今日はよく働いたなーと思った。大変ではあるが、その分達成感もある。


ごろんと寝返りを打ち、ふとカレンダーを見る。シフト日が書いてあるのだ。

それはお盆は一週間連続で出勤、しかもほとんどが8時間労働というハードな予定だった。
先述したようにバイトにもだいぶ慣れてきていた僕は、調子こいてシフトをがっつり入れ「稼いだるぜ!」ってな感じだったのだ。

この時すでに嫌な予感はしていた。



そして連勤3日目にもなると、案の定僕は死にそうになっていた。

まず足だ。立っていられない。勤務中は一切座ったりできないので、45分ほどの休憩時間以外はずっと立ちっぱなしだ。しかも超忙しいので常に早歩きしており、疲れるのも早い。
途中から「サイドステップで歩くと若干楽になる」ということに気づき、壁際をカニ歩きしてやり過ごした。


そして一番きつかったのが腰だ。僕は高校生のころに一度腰を痛めており、その痛みや辛さをこれでもかってくらい思い知っていたのだが、ここで再発した。最後の方は本当にきつくなって5分おきくらいに立ったりしゃがんだりを繰り返していたので、マネージャーに若干怪しまれた。


そんな地獄のような一週間を、僕はなんとか乗り切った。ほんとにへとへとだった。

同時に思った。「冬休みもこんな生活をするのか?冗談じゃない」と。もうたくさんだ、と思った。

業務自体はなかなか楽しかったし、このバイトきっかけとなり僕は今でも映画が好きだ。それでも繁忙期の忙しさはちょっと尋常じゃないと思った僕は、バイトを辞めた。



そして現在である。
やっぱり遊ぶお金も欲しいな~と最近思いはじめたので、しょうこりもなく今度は短期のバイトをやってみることにした。

映画館のように立ちっぱなしで5時間とか働く仕事はやめようと決め、デスクワークのような仕事を探した。前のバイトでは社員であるマネージャーにだけ個人用デスクがあり、「いいよなあんたらは!疲れたら座れるしコーヒーとか飲めるし!」と思っていたのである。運よく希望に沿っていそうなものが見つかり、今はそこで働いている。



しかし働き始めて気づいたのだが、このバイトは本当に座りっぱなしだ。パソコンとにらめっこするような仕事なので目も疲れる。1時間に5分ほどの休憩を除くと、連続で7時間くらい座っている。最近なんだか腰も疼く。


嫌な予感が、してきた。

<