島田紳助の成功戦略~「X+Y」の公式
島田紳助の『自己プロデュース力』を読みました。
- 作者: 島田紳助
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2009/09/01
- メディア: 単行本
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島田紳助はやっぱり、めちゃくちゃ面白いですよ。
簡単にいうとこれは、島田紳助が芸人の卵であるNSC生に対して行った講義の内容をまとめた本です。
その内容はお笑い論から人生論まで非常にバラエティ豊か。今日はその中でも「成功」に関する講義をピックアップして、紹介したいと思います。
◆次々に現れては消えていく「一発屋」。なんでだろう~♪
お笑い界では「一発屋」と呼ばれる芸人がいますよね。
ある時期から急に売れ始め、大抵はその芸人のキャッチフレーズがどーんとウケて注目され、テレビや雑誌などのメディアに引っ張りだこになる。その年の流行語大賞も「ゲッツ」してかっさらうけど、次の年くらいにはぱったり露出が減りだんだん忘れられていく「残念!」で「ワイルド」な人たち。
島田紳助が本書で語る「成功戦略」によって、「一発屋」はなぜ現れてはすぐ消えていくのか、ずっと売れ続ける芸人との違いは何なのか、すべて納得のいく説明がつくのです。
その理論が、「X+Y」の公式。
◆X=自分、Y=時代
島田紳助が芸人になりたてのころ。まず考えたのは、これから売れるためにどんな笑いをつくるのかということでした。
誰を笑わせたいのか?それはどの世代のどんな人たちなのか?そのためにどんなネタをつくるのか?
そこで用いた考え方がこの「X+Y」の公式です。ここでいうXとはつまり自分(の能力)であり、Yは時代の流れ、世の流れを指します。
漫才で言えば、その時代時代でどんな人が、どんな笑いがウケていたのか。そしてそれがどのように移り変わっていったのか。あるいはずっと共通するものがあるのか。それを徹底的に調べる。これがこの公式で言うところの「Y」。
次に「X」。これは自分の能力です。つまり自分には何ができるのか、どんな笑いを生み出せるのかということ。自分自身と向き合って必死に探すのです。
この「X」と「Y」がわかった時、初めて悩めばいい。
「さて、俺は何をしよう」って。そこから、「どうしたら売れるんだろう」「そのためにどういう笑いをつくったらいいんだろう」って考えを深めていけばいいんです。「X」と「Y」もわからずにどんなに悩んだって、それは無駄な努力。
成功するのは、この「X」と「Y」がぶつかったときなのです。
「売れない芸人」はこの「X」と「Y」を理解していない人。「売れる続ける芸人」はこれが頭に入っている。「Y(=時代の流れ)」に「X(=自分)」を合わせて常に変化しているのです。それができなければ、「売れる」ことはできても「売れ続ける」ことはできない。
ここまで書けばピンとくる人も多いでしょう。
「一発屋」とはつまり、何も考えず自分の出来ることをやり続けていた「X(=芸人)」に、たまたま向こうからやってきた「Y(=時代の変化)」がバッチャーンとぶつかった「出会い頭の衝突事故」なのです。
この二つを分かりやすくグラフにしてみました↓
これが「売れ続ける芸人」の図。
時代=Yの変化に合わせ、常に自分=Xも動いているのがわかると思います。
紳助さん曰く、あの明石家さんまさんが、まさにこれ。
・・・さんまだってそう。世の中の変化に合わせて、少しずつ自分を変えています。傍からみたら同じことをやり続けているように思えるかもしれないけど、売れ続けるというというのは、気付かないくらいゆっくり変わっていってるということなんです。
こちらが「一発屋芸人」。
XとYは正面衝突して大きなインパクトを生みますが、やがてY=時代の変化とともにXとのズレが生じ、売れなくなってゆくのです。
これこそ、「一発屋芸人」と「売れ続ける芸人」の真相なのです。
◆「成功」したければ、ひたすら変化すべし
島田紳助の「X+Y」の公式、単にお笑い界だけで通用するものではありません。あらゆる分野に共通した「成功戦略」の真理です。
例えば、プロの格闘ゲーマーである梅原大吾さん。
その著作、『勝ち続ける意志力』の中で繰り返し説かれているのが、「変化なくして成長なし」というメッセージです。
格闘ゲームのプロとして世界トップの実力をもつ梅原さんは、その地位を維持するためにひたすら自分を変化させています。
熾烈な競争が繰り広げられるゲームの世界では、ひとつの戦術・戦略に固執しているとすぐに勝てなくなります。どんなに必死に編み出した技もたちまち古くなり、攻略されてしまう。よって必要になってくるのが、常に新しいことに挑戦すること。変化が必要不可欠なのです。
かつて生み出した戦術に頼らない覚悟と、新たな戦術を探し続ける忍耐力があるから、トップにいられるのだ
そして重要なのが、「勝つこと」と「勝ち続けること」では両者は似て非なるものだということ。
お笑いで言うところの、「一発屋芸人」と「売れ続ける芸人」の違いに共通するところです。
「勝つ」という言葉は、「結果を出す」と言い換えるとことでイメージしやすくなるかもしれない。「結果を出す」ことと「結果を出し続けること」では根本的に性質が異なる。
売れはじめた後、その芸に固執することなく自分を変化させ、慎重に世の中の動きを追っていく。そこに自分をぶつけることができるのが「売れ続ける芸人」であり、それができず一度きりの大事故で終わってしまうのが「一発屋芸人」なのです。
こちら(↓)ははてなダイアリーの人気ブロガー・ちきりんさん(id:Chikirin)の記事。『勝ち続ける意志力』について書かれています。
そのちきりんさんも、ブログを書くことについてこう言っています↓
レベルは違うけど、ブログも同じです。
一回だけ大きなアクセス数を稼げればいいのなら、すごく刺激的な話題を選び、センセーショナルに煽ればいいし、マニアに受けそうなタイトルをつければいい。
びっくりするような特ダネを載せれば、一時的にはアクセス数が急伸するし、有名な誰かを派手に罵るだけでも注目を集めることができる。
だけど、何年にもわたって高いアクセス数を集めたいと思うなら、そんな方法で人気を維持するのは不可能です。一時的にアクセスを得るためには有効でも、長くアクセス数を維持したいなら、やらない方がいいという方法もあるでしょう。
スポーツの世界で言えば、例えばヤンキースのイチロー選手がぱっと浮かびます。スポーツ選手なら避けて通れない肉体や動体視力の衰えという、最盛期を過ぎた「時代の変化」に、彼は自分の打撃フォームを変化させることでカバーしていた。だからこそ、10年連続200本安打達成など、長らくメジャートップのバッターとして君臨することが可能だったのです。
ビジネスの世界でもそれは同様。例えばSNSのmixiなどは一時期とても流行っていましたが、今は随分勢いをなくしていますよね。これからどうなるかはわかりませんが、facebookやTwitterなどの台頭とともに、激しい時代の変化に対応しきれなかったのが理由のひとつでしょう。
お笑い界でもゲーム界でも、ブログでもビジネスでもスポーツでも、必要なのはYに合わせてXを変化させ続けることだと分かります。島田紳助の「X+Y」公式はまさに、あらゆる分野に共通する「成功戦略」といえるのではないでしょうか。
- 作者: 梅原大吾
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/04/02
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