書評でも感想でもなく、記録として。
今はてなのブロガーさんの間で「書評論」ブームらしい。読書の秋だからでしょうか。
などなど。
僕もぼんやり考えていたことではあるので、つらつらと書いてみます。
◆読み終わった後「面白かった」と思えればそれでいい
ぶっちゃけ僕が言いたいことは、こちらのエントリー⇒「面白い読書感想文」をめぐる冒険(1)(id:fujipon)でおっしゃっていることとほぼ同じなんです(なので共感しまくりでした)。
でもね、よっぽどの大評論家か有名タレントでもないかぎり、誰かの書評って、しょせん「大河の一滴」みたいなものです。
その通りだな、と思いました。
実際、自分なりに色々と考えても、自分が書く「書評」にはどうしても価値を見いだせないんです。自分で自分の書評に、価値が見いだせない。
卑下するわけじゃないですが、しょせん自分はただの一般人です。一般人というのは、何かに秀でた著名人というわけでもなく、独自の目線でものを分析できるような慧眼の持ち主でもないし、大量に本を読みこんだ読書家でもない、ということ。そんな今の自分が「書」を「評」しても、隙だらけのガラクタみたいな論しかかけないという自覚がある。
書評というからには、読んだ本になんらかの裁定を、是非を下すものです。つまりその本を、究極的には、「良いか悪いか」のどちらかに振り分けるものだと。そうなると僕はどう考えても、「悪」に入るような本はないと思うんです。
そもそも本を読むときって、「読む価値のある本」あるいは「限りなく高い精度で『読む価値がある』と推測できる本」しか選ばないんじゃないでしょうか。ノンフィクションのビジネス書や新書については特にそうです。基本、興味のある分野もしくは著者の本しか読まないし、自分にとってつまらない本や興味のない本って途中で読むのをやめてしまうか、読まずにほったらかしになるでしょう。なので自分で「読もう」と思って読み終えた本に「良い・悪い」なんてものはなく、全部「良い」なんじゃないかなと。「評」するまでもない、ということです。
結局、「読む価値」というのは客観的な内容の素晴らしさではなく、「自分の興味に合致しているか」もっと簡単に言えば「自分が読んで面白かったか」「楽しかったか」だと思います。本は自分が読んでその後「面白かった」と心から思えればいい。あるいは「良い学びがあった」とかでも。
◆「書評」がほしいならHONZを見ろ
HONZ―ノンフィクションはこれを読め! という元マイクロソフト社長の成毛さんが主宰する書評サイトがあります。以下その紹介文。
HONZとは?
HONZは単なる書評サイトではありません。HONZは読むに値する「おすすめ本」を紹介するサイトです。たまたま手に取った本の感想をまとめたサイトではありません。厳選された読み手が、何冊もの本を読み、そのなかから1冊を選び出して紹介するサイトです。丹念に作られた本。有名ではないが、個性が光る著者。独特の視点から選び出したブックリスト、編集者の思い入れなども紹介します。
「厳選された読み手が、何冊もの本を読み、そのなかから1冊を選び出して紹介する」
読み手を「厳選」し、さらにその読み手によってろ過された「読む価値のある本」を紹介するこのサイト。これこそ最強の「書評」サイト、そしてコンセプトだと思います。「書評の存在価値」の是非と問いに対する答えではないでしょうか(もちろんサイトの副題になっているとおり「ノンフィクション」に限りではあります)。やや乱暴な結論とは思いますが、素人の下手なレビューではない、信用と客観性を兼ね備えた「書評」がほしいならHONZ、ということで。
◆書評でも感想でもなく、記録として
そうすると、素人の一個人が書評は書いてもしょうがないと言うなら、本のレビューを書いても意味がないのか?当然こう思いますよね。
僕個人としては本のレビューを、書評でもなく感想でもない、「記録」として書いていきたいなと思っています。
「記録」というのはつまり、他の人というよりは自分のために、それを読んで思ったこと、考えたこと、共感したことなどを、内容に触れながら記していくということです。
これはある意味逃げです。ブログという形式をとりながら、その記事でアクセスを集めるという勝負をあきらめているということですから。
「感想」との違いはあまり僕の中でも明確じゃないんです。ですが、「感想」は自分の主観で思ったことが多いのに対し、「記録」はその本の内容に触れる、内容をそのままトレースする割合が高い、というイメージです。もっと詳しく言うなら、本の内容を自分なりに噛み砕いて、咀嚼して、解釈してトレースする。そしてそこに自分の考えを加えて補完する、という感じ。
id:fujiponさんがおっしゃっているように、自分が読んだ本の記録を積み重ねていくのはとても楽しい。僕はその楽しさに、他の人にみてもらえるという「おまけ」がつけばよりいい。
「記録」という形式をとり、アクセスを集めたい、読まれたいという勝負からは身を引く形になると言いました。ですがもし、こういった「記録」としてのレビューにターゲットを設定するなら、僕がその本を手に取った時と同じような興味とか悩みとか、問題意識を持った人たちだと思います。その人たちがそんな都合よく見てくれるかはわからないけれど、その人たちの共感が得られるよう「記録」としての質を上げていきたい。そのための分析とか努力は、どんどんしたいと思いますね。
こうして文章にしてみると、全然考えがまとまらなくて、なんだかとても苦労しました。もしかしたら考えが変わるかもですが、今のところこういう方針でいこうかなと、思ってます。
ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた そしたら意外に役立った (角川書店単行本)
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