大学生は一度はアルバイトをしてみるべき

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社畜ブログさんの「大学生のアルバイトは、親が高い金を出して買った時間を、安いレートで換金しているだけだ」という記事を読んだ。

度々論点になるところですよね、これ。

僕は今大学生ですが、事実、周りを見回しても、バイトくらいしていて当たり前だみたいな風潮は強いです。してないと「なんで?」と真顔で聞かれます。いやいや、むしろなんでしてなきゃいかんのだ思いつつ、「いやぁやろうとは思ってんだけど、いいのが見つかんなくてさ」なんて適当に答えてました。バイトしてなかったときは。


もうやめましたが、実際にアルバイトをやってみた感想も含め、僕は大学生は一度はアルバイトをしてみるべきだと考えてます。

(*初めに断わっておきますが、学費を自分で稼いでいる学生に関しては脱社畜さんと全くの同意見です。)

さて、脱社畜さんの主張は

親に学費を出してもらって得た貴重な時間を、時給数百円のアルバイトに費やすべきじゃない

という点につきます。さらに反論への反論として、

①アルバイトで得られるのはお金だけじゃない
アルバイトの仕事くらいですぐさま独立できるようなスキルは身につかない。

②社会人の基礎が学べるはずだ
⇒「社会人の基礎」なんて曖昧でぼんやりしたもの。コミュニケーションスキルなどは他のことでも身に付く。

という感じで答えています。
僕も実際にバイトをやる前は同じような意見をもっていました。が、やったあとの実感を踏まえると、考えが変わったと言わざるを得ません。


まず①ですが、そもそもほとんどの学生は、バイトする中で、それだけで独立できるようなスキルを得ようなんて微塵も考えてません。実際、そんなバイトも多くないでしょう。
大半の学生は、マックやコンビニ、家庭教師のバイトにおさまる。そこから得られるのはせいぜい接客の8大用語とかお札を数える手さばきとか、クレームに耐える我慢強さとか。みんなそんなことは百も承知でやってます。僕ら学生はとにかく、遊ぶお金が欲しいだけなんです。


次に②。脱社畜さんの主張を抜粋してみます。

社会人の基礎を学べるとかいう人もいるが、そもそも「社会人の基礎」なんてものは定義のはっきりしない、非常に曖昧でぼんやりしたものだ。これが仮に集団生活のルールや人とのコミュニケーションのとり方を指すのであれば、アルバイト以外の手段でもこういう能力を身につけることはできる。自分を殺して会社に尽くすという社畜精神のことを指すのであれば、実際に就職してから嫌というほど学ばされるので、何も学生のうちから身に着けておく必要はない。

まぁ社畜精神を学びたい、なんていうドMな学生はあんまりいないでしょう。問題は太字の部分、「集団生活のルールや人とのコミュニケーションのとり方を指すのであれば、アルバイト以外の手段でもこういう能力を身につけることはできる」です。

ここからは僕が「学生はアルバイトをすべき」と考える最も大きな理由と関連するところなんですが、アルバイトで学べる「集団生活のルールや人とのコミュニケーションのとり方」は、他の手段―おそらく学生団体の活動やサークル・部活等の活動を指しているんだと思いますが―それとは代替できないものだと思ってます。あるいは、それらとは全く異質のものなので、サークルはサークル、アルバイトはアルバイトで、学べることはそれぞれあると思うのです。


アルバイトとそれ以外を分ける決定的なポイントは、賃金が発生するか否かです。それはすなわち、責任の重さの違いと言えます。

「集団生活のルール」で言えば、たとえば「遅刻」。

規則と上下関係の厳しい体育会系の部活なら別ですが、通常、サークルなどの集まりに「遅刻する」ということに対し、重大な責任が課されることはないでしょう。仮に遅れても大概は、その場で事情を説明するなり、遅刻する前に一言連絡するなりで、厳しく咎められることはほとんどない。
対してアルバイトはどうでしょうか。その職場の規則や厳しさにもよるかもしれませんが、普通遅刻するということは「仕事を舐めてる」と捉えられます。さらに同じく職場で働く人たちに大なり小なり迷惑をかけてしまう。雇用される際契約書にサインし賃金が発生している以上、遅刻せずシフト通りに仕事をするのは当然であり「やれて当たり前」なのです。それができないのはどこかその人に甘えがあるとみなされる。

僕も最初はその辺を甘っちょろく考えていて、「まぁ5分くらいいいよね」とか勝手に思って、そこそこに急いで職場に到着するも他の人に謝るなくわけでもなく「うっかり遅れちゃいました」的なノリで涼しい顔をしてたら、後でこっぴどく叱られました。
このあたりのシビアさは、きちんと雇用契約を結び、自分の労働力と時間を賃金と交換する、という形態でしか感じられないものだと思います。なんとなくでも「働くってこういうことなんだな」と理解できます。

これは雇用側に都合のいい考えとかでは決してなくって、純粋にマナーの範囲でもあると思います。上司や職場の人たちは赤の他人で、彼らと共同で仕事をしていくには基本的なことが守れるかが大事だなと思いました。
さらに言えば、レジなどで店や会社のお金を扱うということも勉強になりました。金銭の扱いは自然と緊張感をもってのぞまなければならないので、慣れるまでは一定のプレッシャーの中仕事をすることになるでしょう。正確さが何より求められます。

「コミュニケーションのとり方」についても、やはり他とは違うと思います。
繰り返しですが、アルバイトは賃金による雇用契約で職場の社員と結ばれています。それまで何の面識もなかった自分と社員をつなぐものは、雇用―被雇用の信頼関係。明らかにサークルや部活の人間関係とは異なります。はっきり線引きされた上下関係のもと、いかに良好な関係を築くか。これもなかなか勉強になりました。

***

ここまで書いてきて、「勉強になった」「学ぶことが多かった」という言葉が多いなと自分でも感じます。そもそもの話として、いわゆるこうした「社会勉強」は大学生にとって本当に必要でしょうか。

僕は必要なんじゃないかと考えてます。

理由は、実際に社会に出て働く前に「働くということ」のさわりの部分だけでも知っておけば、それに対する心構えというか、イメージトレーニングができると思うからです。何も知らずにいざ働き出して、例えば平気で遅刻してしまうような習慣が身についてしまった後だと、修正するのも一苦労です。そんなことに気が向いている間に、さっさと仕事を覚えた他の同僚に置いて行かれるんじゃないですかね(まぁこの辺は働いたことないんでわからないですが)。とにかく、働くことの大前提として何が必要なのか、自分には何が足りないのかくらいは、あらかじめ知っておいて損はないんじゃないかと、考えてます。



社会勉強なんて働き出せば嫌というほどできる、という意見もあるでしょうか。
確かにそうです。この先何十年と働くことになるでしょうし、今やらなくても社会勉強なんて嫌というほどできる。

なので、何も2年3年とアルバイトをする必要はないと思います。半年で十分では?
それだけあれば何度か失敗もするでしょうし、それに対するリカバリーもきくでしょう。いいとこどりで経験値を増やしちゃえばいいんです。時間の貴重さと賃金が釣り合わないとのことでしたが、「時間>お金」ではなく「時間=お金+経験値」と考える。お金もらいながら社会経験してると思えば、そんなに悪い気はしません。それ(社会経験)が必要ないくらいしっかりしてる人も勿論いるだろうし、そういう人は必要ない。

また、今でこそ「みんな新卒で就職」みたいな風潮というか、社会システムが疑問視されて、選択肢も増えつつあるようですが、まだまだ大多数はこれでしょう。大卒の多くはまず、企業への就職を目指す。起業する勇気なんてそうそう出てこない。

それが現実なのは今の大学生にとって事実で、だったら少し準備がてら、アルバイトしてみるのも悪くないと思います。もういいな、と思ったら比較的気軽に辞められるのも学生の特権みたいなものです。どうせなら色々面白そうなバイトを短期間でやるのも悪くないかもですね。


というわけで、大学生のアルバイトはアリだと思います。

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