高畑勲監督の新作『かぐや姫の物語』が気になる

やや乗り遅れた感ありますが、宮崎駿監督の引退をうけて、思ったこととか書いてみます。

宮崎監督の引退、その影響は?

今や日本人ならほとんど知ってるようなたくさんの名作長編アニメを生み出してきた宮崎監督ですが、今夏上映の『風立ちぬ』を最後に引退すると。世間は今この話題でもちきりで、金曜日の引退会見に合わせて急きょ『紅の豚』が放映されたりしました。翌日の映画館、公開から一か月半が経ちちょっと落ち着いていた『風立ちぬ』を観に来るお客さん、引退効果なのか、増えていたみたいです。

この偉大な巨匠の引退がもたらす本当の影響というのは、世間の話題が過ぎ去った後に出てくるんでしょうね。個人的に、この影響というのは結構大きいんじゃないかと思ってます。1つは、ジブリ作品は観れても、宮崎監督の新作はもうみれない、それを寂しく思う人がやっぱり多いんだろうし、実感がどんどんわいてくるのはもっと後だと思うんです。僕自身、まだ実感できてません。まぁ考えてみれば当たり前で、最新作が上映中ですし。

ただ一方では、プラスの影響もあると思います。それは何かというと、今後アニメ界を引っ張っていくアニメ監督がどんどん頭角を現すんじゃないかと。宮崎監督が第一線を退いた今、そういう人がどんどん出てくるんでしょうし、監督本人も「重しが取れた」みたいなこと言ってましたね。それはジブリについて述べたことなんでしょうけど、もっと影響は広く大きいんじゃないでしょうか。それに期待してます。既に細田監督とか押井監督、『風立ちぬ』で主人公の声を演じた庵野監督など、僕は全然詳しくないんですが、候補はたくさんいるようです。

 

『風に吹かれて』を読んだ

さて、少し話は変わりますが、宮崎監督が引退を決めたということで、この本を買ってきて今読んでるところです。

 

ま だ半分くらいしか読んでませんが、かなり面白いです。どういう本かというと、ジブリの二大監督である宮崎駿高畑勲をプロデューサーとして支えてきた鈴木 敏夫さんによる自伝+ジブリ伝って感じ。その鈴木プロデューサーにインタビューするという形式で、第三者という立場で見た宮崎監督が語られていきます。今 までのジブリ作品、ナウシカ以前の宮崎・高畑監督作品からひとつひとつ、詳細に踏み込んでゆく。その誕生秘話や舞台裏、制作過程の話などなど、作品自体と 同様、みな個性があるんです。構想から完成までのプロセスに、どれ一つとして同じものがなく、ドラマがある。公開に作品完成がどうしても間に合わず、未完 成のまま踏み切ったもの、ジブリ社内で起こったちょっとした事件がきっかけとなり生まれた作品。。。これだけで一つの話ができちゃうんじゃないかってくら い面白いです。で、それはなんでかなと考えると、やっぱり監督二人と鈴木プロデューサーがとても個性的なんです。特に監督二人にはそれぞれ強烈な信念や思 い入れ、周りを振り回すわがままさ、我の強さがあります。そんな両監督ですが、結構おちゃめなところもあり、憎めないんですね。そんな二人と常に話し合っ たり、ぶつかったりしながらきた鈴木プロデューサー。こうやって作品ができていくんだなぁ、劇場に映画が届くまでにこんなドラマがあるんだなぁと感じまし た。『風に吹かれて』、ジブリ好きは必読です。

高畑勲監督とその最新作『かぐや姫の物語』

さて、実はここからが本題なんですが、宮崎監督の引退表明→『風に吹かれて』と来て、最も強烈に心に残ったのは、高畑監督のことです。『風立ちぬ』のレビューや感想、そして宮崎監督の引退表明についてはネットで記事がたくさん書かれていて、嫌というほど目にしますが、高畑監督について書かれてるものはあまり目にしません。それもこの『風に吹かれて』を読む前までの実感なんで気のせいかもしれないですけど。僕は実は、高畑監督の作品をどれ一つとしてみたことがないんです。加えて、言っちゃなんですが、どうせ大したことないんだろうとか思ってみようとも思いませんでした。明らかにジブリ宮崎駿だし、あまり話題になっているのも聞いたことがない、TVでもあまり放映されないといった感じで、興味自体わかなかったんです。

ですがこの本を読んでみて(まだ途中だけど)、どうやらすごい人らしいぞと。鈴木プロデューサーなんかは、高畑監督を「あんな有能な人はいない」とまで言い切ってます。宮崎監督とは、また違ったタイプの天才みたいです。気になったので少し調べてみると、とにかく超合理的で、なんでも徹底的に調べ上げ、資料なんかを調査して作る、というのが高畑監督のスタイルらしいです。以下ウィキペディアですが、「緻密な構成力を有し、アニメーションでありながら、リアルで自然な説得力のある世界観を追求している」と。なるほど、なんとなくですが、宮崎監督が感性の人なら、高畑監督は理詰めの人なんでしょうか?何気に東大卒だし・・・・

 

というわけで、今ジブリについての、僕の最大の関心ごとは、高畑勲監督の最新作、『かぐや姫の物語』です。既に劇場では数分間の予告映像が流れてますが、鳥獣劇画のようなタッチで描かれてますね。

かぐや姫の物語 予告 - YouTube

アオリ文句が「娘の犯した罪と罰。」・・・うーん気になる。この独特のタッチもなかなか衝撃ですが、罪と罰って?かぐや姫が何をしたんだろう?って感じで、内容にも興味わいてきます。さらに鈴木プロデューサーによると、なぜかぐや姫はそもそも、地球にやって来たのか、どうして他の星ではなかったのかという謎が、重要なポイントになってるそうです。いや、月出身だし、だったら目の前に地球あるし、来るでしょ・・・とか思っちゃいますがどうなんですかね?とにかく気になる。

 

というわけで、11月23日公開の『かぐや姫の物語』、超楽しみです。とりあえずジブリの高畑監督作品、全部みようと思います。

 

<