興味のない人間には興味がない
葬式に出るのは人生で三度目だった。一度目は幼稚園の先生、二度目は母方の祖父。そして今回は父方の祖父が亡くなった。祖父の死はうすうす覚悟していた。その一カ月ほど前、一時は危篤状態となるもなんとか意識を取り戻し、こちらの言葉に応答できるまでになっていた。しかしベッドで首を起こすこともできずにいるその姿を見て、なんの予感もしなかったといえるほど、無邪気に回復を信じることはできなかった。
葬式はごく少数の身内のみで、ひっそりと行われた。俺は葬式というものについて考えていた。数は少ないとはいえ、出席した人はみな多かれ少なかれ、自分の生活の合間を縫って、あるいは少々の無理をして、そこへ駆けつけていた。葬式とはそういうものだと言われればそうかもしれない。俺の会社も規定にのっとり、三日間の忌引き休暇をくれた。葬式とはそういうものだし、たとえ忌引きがもらえずとも、俺は出席しただろう。が、一方で感じたのは、優先すべきは生きている者の都合だろうということだ。もしその日が大事な試験の日か、あるいは就職の最終面接に臨む日だったとしたら、俺は出席しただろうか?おそらく答えはNOだ。生きている者がその生活を犠牲にしてまで出向くものではないと思う。そうであってはならない。
そうあってほしくない。
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「おまえ人間に興味ないよなー」と、いわれた。図星だった。こいつには見抜かれているだろうと思っていたが、まぁ他の人もわざわざ言葉にしないだけで、言ってはこないだけで、見抜かれているのだろう。そう思えばこうしてはっきり本人を前にして口にしてくれるというのは、どれほど優しいことか。「おまえは冷たい人間だ」などと俺を評しているのではなく(その意も全く含まれていなかったとは言い切れないが)、ただ事実を述べているだけであるように見えた。とはいえ、「人間に興味がない」とはいささか言い過ぎだろう。「興味のない人間には興味がない」が正しい。・・・やはり俺は冷たい人間かもしれない。
小学生の頃は、一日中草むらで虫取りをしていても全く飽きなかった。人間にも、昆虫と同じくらい興味が持てればいいのにと思う。
掘りだしものがいいんです
アパートから自転車で3分かからない距離にでっかい本屋があって、最近は毎日のように通ってる。なにしろ24時まで空いてるから仕事帰りだって余裕で行けてしまう。一か月にどれくらい書籍代(漫画本含む)に費やしてるのか・・・あまり計算したくない。
なかでもやっぱり漫画が好きなので、よく買う。ただ、最近話題だとか、累計何十万部とか、アニメ化しましたみたいな煽り文句で本屋が売ろう売ろうとしてくる本にはあまり手が伸びない。こういうとき無駄に天邪鬼なせいでたまに損してる。読んでみればむしろ面白いことのほうが多いんだけど。
でもどうせ買うなら自分で開拓したい。掘り出し物をみつけたい。
それが実際のところ有名だったり、売れてる漫画だったとしても関係ない。「自分で見つけた!」と思えればそれでいい。
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放課後さいころ倶楽部 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
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このへんは特によかった。「掘り出し物」は褒め言葉って信じてる。
おちこんだりもしたけれど、
元気でやってます。
社会人になって3か月半。振り返ればいろいろあったが、ないほうがむしろ異常だし、まぁこんなもんかなと思う。まだまだ序の口という気もする。大変さでいえば、世の新社会人が経験する一般的なそれの範疇に収まるだろう。そこそこしんどかったし、そこそこ楽しいこともあった。つまり、ふつうだった。
働き始めて変わったことといえば、まず朝が早くなった。早起きなんて高校卒業後はついぞした記憶がなかったから、入社前には一番心配していたことのひとつだった。が、意外とこれはすぐに慣れてしまった。
次に時間の使い方が変わった。自由な時間が減っただけ、したいことしかしたくなくなった。読書量が3倍くらいになり、映画やアニメはあまり見なくなり、睡眠時間が増えた。
毎月お給料がいただけるようになったので、銀行の預金額が増えた。お金がたまれば何か心境の変化があるかと思っていたが、あまり変わらなかった。同期などは金をためたい、残業してでも稼ぎたいという人が多いけれど、僕はとてもそんな気分になれない。なさすぎて不自由するのも嫌だが、たくさんあって嬉しくなるタイプでもないんだなということが分かった。
配属先もやっと決定した。事務系の総合職として入社したので、つい先日までどんな職につくのかわからず足元がおぼつかなかった。もともと希望なんてなかったが、営業は嫌だなぁくらいは思っていて、結果、営業ではなかった。しかし自分に向いた職かといえば全くそんなことはない。とはいえ向いた職がそもそもありそうになかったから、面談では「頑張ります」と言い切った。